歩いていると、ふと、
どこだここということになった
どこに向かっているんだ
あれ、家はどこだったか
少し、キョロキョロとしていると
「兄さん、どうしたね」
誰かの声がした
「え」
おれは、声の方を見た
すると、そこだけ、青白く光輝いていて
見ると
小さな、リスくらいの
白い生き物が、木の枝から
話かけていた
「ちょっと家の場所を・・・」
と、言おうとしたが
なんか変なこと言おうとしている
自分に気づき
「ちょっと家の場所を目を閉じて
歩いてみて当てようしたのだけど
うまく行かなくって、目を開けてみたら、
ここがどこだか分からなくなって
しまったことに驚いて」
おれは、結構適当に言ってしまった
「ほんまかいな、兄さん」
白いリスは言った
「すまん、本当は道に迷った」
正直に話した
「そっか、じゃあ」
・・・
「ん?」
(じゃあ、ってことは)
「ちょっと待って、リスさん」
「本当は、家に帰りたい」
俺は言った
「そっか、」
白いリスはそう答えた
(俺はどうしたらいいんだ)
少し悩んでいた
「おいらは、大白鼠っていうんだ」
???
(どこかで聞いたことがある)
「予知が出来るのだよ」
大白鼠は言った
「予知」
俺は何を言っているか分からなかった
「未来が見える」
「だから、あんさんに声を掛けた」
大白鼠は言った
「すまん、よう分らんけど」
「予知が出来るなら」
「俺の家の場所を教えてくれ」
俺は、真面目に言っていた
「ちょい、難しいな」
大白鼠は言った
「なぜ?」
俺は聞いた
「あんさんは、あそこに戻らん方がええ」
大白鼠は言った
「え」
(無茶苦茶な急展開や)
俺は思った
「さっきも、ゆうたけど」
「おいらは、予知が出来る」
大白鼠が言った
「じゃあ、俺はどうすればいい」
真面目に聞いていた
「元の世界に戻してやろう」
大白鼠が言った
「元の世界・・・」
(ここには来たばかりなのに)
俺はつぶやいた
「あんさんは、次元の狭間に
吸い込まれてこっちに来た」
「でも、何もしてない」
「もしくは、何もしなかった」
「けれども」
「逆にそれでいい」
「世の中は進み」
「世界は変わる」
「あんさんのお陰や」
大白鼠が言った
「え」
「ど、どういうことだ」
俺は、ちょっと
不思議な感じがした
「簡単にいうと、
あんさんがぼーっとしている間に」
「あっちの世界のあんさんが、色々動いて」
「あんさんを呼び戻そうとしている」
「だから、元のリアルの世界に戻るんだ」
大白鼠は、諭すように言った
「???」
そう大白鼠から聞こえると
大白鼠が光輝き出し
光が大きくなった
(・・・!)
そして、光が俺を吸い込んだ
(そんな急展開や)
俺の意識は、薄らいで行った・・・
始期 二(3)
小説「主【NUSHI】」
諸麗真澄