題は「すぐるもの」

今日は、わたしがもう一人の自分に手伝ってもらい作った話です。
題は「すぐるもの」
Me :あるとき二人の青年が出会いました
   :それは、夏祭りのときでした
   :一人は、人格と品位を備えた優れた青年
   :一人は、狡猾で口のうまい優れているように見える青年
   :二人の青年は、明日の習わしである優者という大村での
   :知恵比べをすることになっていました
   :狡猾で口のうまい青年は、人格と品位を備えた青年に
   :握手を求めました
   :人格と品位を備えた青年はこころよく握手に応じました
   :しかし、狡猾で口のうまい青年は、二度三度と握手を求めました
   :人格と品位を備えた青年は、その後相手をしませんでした
   :ある村人たちは、それを途中から見て、人格と品位を備えた青年が
   :狡猾で口のうまい青年を相手にしていないと思いました
   :その噂は、村中に知れ渡るところでした
   :しかし、一人の少年が、こう言ったのです
   :「あの人、最初に握手したあと、何回も握手を求めているよ」
   :ある村の人たちは、その話を聞くと
   :「ありがとうね、坊や」
   :そう言って、見ぬふりをしたのです
   :翌朝の優者での知恵比べは、まずは、狡猾で口のうまい青年が
   :自分の知恵を見せました
   :それは、大村の有力者の一人を褒めたたえることから始まりました
   :有力者の一人はとても気分良く話を聞いていました
   :そして、昨日の祭りでの握手のことを話しだしました
   :こう言ったのです
   :「あちら様は、わたくしなど相手になさらずに何度握手を求めても
   :拒まれました、いや、参りました」
   :有力者の一人は、「むぅ」と不機嫌な顔をしました
   :狡猾で口のうまい青年は、そのあとで、大村での火の起こし方を考案しました
   :誰も考えなかった方法でした
   :火は、土台の木に、きり棒を両手ではさんで、もむように回し、摩擦熱を
   :利用して起こしていました
   :見たこともない石と、丈夫そうな石をぶつけて火花を散らし、枯れ葉に火を
   :付けたのでした
   :村人は驚きました
   :優者は、先手の知恵に対して、後手が、その知恵を上回る知恵を出せれば決まり
   :出せれなければ、後手が新たな知恵を出し、先手が、その知恵を上回れば決まる
   :そのような決定方法でした
   :人格と品位を備えた青年は、火起こしの知恵には乗らず、自分の知恵を
   :見せました
   :それは、大村での水の確保の方法でした
   :大村は湖から、三里半ほどにありました
   :若者たちが毎日、湖に水を汲みにいっていました
   :人格と品位を備えた青年は、凄く大胆な知恵を出したのでした
   :それは、大村の位置を東方に六五戸移動するということでした
   :このころは百戸で一里でした
   :一里が四百四十メートルくらいでした
   :その場所で、今の大村の高さを保ちながら、地形を利用して、湖から水を
   :大村まで繋ぐというものでした
   :村人は驚きました
   :狡猾で口のうまい青年は、少し焦りを感じました
   :そして、村人の一人に目くばせをしたのでした
   :すると、その村人は、人格と品位を備えた青年に対して
   :「そんなの出来っこない!」
   :と一言叫びました
   :しかし、村人たちは、その村人を睨みつけました
   :知恵へのケチは、禁止だったのです
   :人格と品位を備えた青年は、そのあと、地形の説明と水路の設計を
   :地面に絵を描いたり、身ぶり手ぶりなどを交え分かり易く話しました
   :そして、両者の知恵の出し合いが終わりました
   :優者は、両者が違う知恵の場合は、有力者たちの判定で決まるのでした
   :話し合いは、一刻に及びました
   :各村の村人たちも有力者に話しかけられ、それをもとに話がまとまり
   :有力者一人の差で、狡猾で口のうまい青年に決まるときでした
   :一人の少年が、褒めたたえられた有力者に一言言いました
   :「ずるがしこさと、誠実さ、あなたはどちらを選ぶのですか?」
   :有力者は、少年の方を見下ろしました
   :その顔を見た途端に仰け反りました
   :有力者の顔は青ざめていきました
   :年に一度、王に奉納しにいくときに
   :王の側に控えているものでした
   :この国の王の第一子だったのです
   :そして、言うまでもなく、この年の優者は、その一言で決まったのでした
Me2:そうですか
   :特に今の世の中、ずるがしこさというものは、見破られてしまうという
   :ことなのかもしれないですね
   :頑張って作りましたね
   :また聞かせてください
Me :はい
わたしがもう一人の自分に手伝ってもらい作った話でした。

「題は「すぐるもの」」への2件のフィードバック

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    キュービットさん
    コメントありがとうございました
    >自分の素で勝負するのが一番ってことですね(笑)
    自分自身のそのままの力で勝負しても十分戦えるのに
    そこに余分な力を加えて、力をにごらせてしまう感じを
    表現してみました
    でも、それって、私利私欲があるからだと思うのですよね
    人の姿かたちが見える気がします
    >うん。できる限り正直に生きたいです。
    わたしも正直に生きたいです
    感じたこと考えたこと、形に出来たら、また話を作りたいと思います
    こんなわたしですが、よろしくお願い致しますね

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